“東京で最も遠いコンビニ”はどこにある?

日本ソフト販売株式会社のホームページによると、日本全国にあるコンビニの数の合計は56,749(2025年1月時点)にも上ります。セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなどの大手コンビニチェーンは、おおむね日本全国津々浦々まで出店し、一部地域を除いて都市から田舎までどこかしらのコンビニチェーンがカバーしていると言えるでしょう。

大手ではなくとも、地域ごとに特色あるローカルチェーンのコンビニもあります。
こうしたお店は地域密着で、独自の品揃えやサービスを提供すると同時に、過疎地ではその地域唯一の商店としての機能を担っているケースもみられます。
中には、北海道のセイコーマートのように、災害時でも住民に食事を提供できるようにするなど、ライフラインとしての役割を果たしているコンビニもあります。

全国のコンビニのうち、1割が東京にある

そうしたコンビニですが、アパマンショップのホームページを参考に集計すると、東京都内には5,995軒のコンビニがあるとされています。
すなわち、日本のコンビニの総数のうち、約1割が東京にあることになるのです。日本の人口と東京都の人口を勘案するとこれは自然なことかもしれません。
中でも、東京都にあるコンビニのうち、約四分の三にあたる4,483軒が23区内に立地しています。

区ごとに見ていくと、最も多いのは港区で324軒、次いで世田谷区が314軒、以下新宿区、大田区、江東区と続きます。逆に23区のうち、最もコンビニの数が少ないのは文京区です。それでも79軒あります。

23区を除く市町村別で見ると、最も多いのは八王子市で196軒です。これは23区内にも引けを取らない数で、市区町村別で13位、なんと豊島区よりも多い数です。
また、町田市にも146軒あり、同じく19位に位置します。

では逆に、東京都の中でコンビニがない自治体はあるのでしょうか?
またコンビニが最も少ない自治体はどこなのでしょうか?

東京でコンビニがない自治体のほとんどは島嶼部に

結論から言うと、八丈島を除く島嶼部の自治体には1軒もコンビニがありません。八丈島には1軒だけ存在します。

では、島嶼部を除くとどうなるでしょうか?

実は島嶼部を除く都内にも、コンビニがない自治体が1つだけあります。それは檜原村です。
檜原村は多摩地域の西部にある村で、東京都のうち、島嶼部以外の自治体では唯一の「村」です。
人口は1,700人あまり、村の総面積の9割以上を森林が占めます。
村内にはスーパーマーケットが1軒ある以外は、個人経営の商店が数軒あるのみとなっています。

檜原村は限界自治体に指定されています。
このあたり、いくら東京都内と言えども、地方の過疎化が進んでいる地域とあまり変わらない様相を呈していると言えるでしょう。

島嶼部を除いてコンビニの数が最も少ないのは奥多摩町

23区と東京都下で最もコンビニの数が”少ない”のは、こちらも多摩西部にある奥多摩町です。先のアパマンショップのサイトによれば、町内には4軒のコンビニがあるとされています。

都市に住んでいるとコンビニは当たり前の存在であり、身近にないことは考えられないかもしれません。
では、コンビニなどが身近にない地域の買い物事情はどうなっているのでしょうか。

奥多摩町の買い物事情

奥多摩の買い物事情を見ていきましょう。

奥多摩町内にあるコンビニは4軒とされていますが、全国展開する大手コンビニは1軒のみ、しかも役場や奥多摩駅などがある町の中心部からは、直線距離で5kmほど離れた古里駅の近くにあります。
ちなみにこの店舗は「セブンイレブン奥多摩古里店」で、地図上で見る限り、東京都内で最も西にあるコンビニです。

ほかのお店はと言えば、個人経営の商店やスーパーは数軒あり、中心市街や古里駅の近くにあります。
しかし、大規模な複合商業施設やショッピングモールはありませんし、都市部の住宅地にあるような大手スーパーも見られません。日常的な食材などの買い物は町内で事足りますが、それ以外の買い物をするには心許ないように感じます。

どうしているのでしょうか?

週末は車を使って買い物にお出かけ

町内での選択肢が限られるので、当然、町外へと買い物に出かけます。
そして奥多摩町は、買い物で出かける環境にとても恵まれているのです。

奥多摩町から約20km、車で30分強のところにある青梅市には、中心街に複数のスーパーがありますし、1時間かからずに羽村市にあるSAKURA MALLへ出かけることも可能です。
さらに、県をまたいで車で1時間ほどのところには三井アウトレットパーク入間が、1時間強のところには、モリタウン(昭島市)や、ららぽーと立川立飛があり、マイカーがあれば週末のお買い物に不自由ありません。
ドライブついでに東京郊外の大型ショッピングセンターでお買い物ができるのです。

電車を利用すれば都心へもラクラク

また、奥多摩にはJR青梅線が通っています。電車で1時間ちょっとで立川まででることができますし、1時間半~2時間で東京や新宿、渋谷などの都心まで出ることも可能です。東京都心へ向かう途中には若者に人気の街・吉祥寺もあります。
また、先に挙げたモリタウンは青梅線の昭島駅に隣接しており、鉄道利用での買い物もラクラクです。
運賃は昭島や立川であれば往復でも1000~1500円であり、免許やマイカーを持たない人でも安心して買い物へ出かけることができます。

いわゆる「田舎」と称される地域の中では、十分に買い物の環境が整っていると言えるでしょう。

ちなみに、コンビニが1軒もない檜原村からは、車で20分ほどのところにある、武蔵五日市駅へ向かい、そこからJR五日市線を利用すれば、立川まで30分ちょっとで行くことができます。

車利用で注意したいこと

奥多摩町と青梅市を結ぶルートは主に青梅街道(国道411号)です。しかし、青梅市までの区間は片側1車線となっています。大部分の区間は都道45号線など、迂回ルートもありますが、、奥多摩町内の一部区間では迂回ルートが存在しないところもあります。特に週末は交通量が多いことが考えられ、時間帯によっては渋滞が発生する可能性もあります。
時間や安全にはいつも以上に気を付ける必要がありそうです。

意外に便利な奥多摩

島嶼部を除く東京都内の自治体のうち、コンビニがない、もしくは少ない自治体は多摩地域の西部にある檜原村と奥多摩町という2つの自治体でした。
この檜原村、奥多摩町ともに都心から見ると「東京の果て」と言える場所です。距離感としては、都心からかなり離れており、買い物には何かと不便なイメージを持つ人もいるでしょう。

しかし、周辺の自治体まで目を向けると、ショッピングモールが複数あるほか、交通アクセスも良いことから、かなり便利に買い物を楽しめるのです。

たとえ田舎であっても、多摩地域の西部は「さすが東京!」と言えるほど、買い物や交通のアクセスは恵まれていると言えます。

参考