価値ある不便。奥多摩で見つけた“ちょうど良さ”

「なんとなく疲れてる」「余裕がないな」「もっとゆっくりしたい」
都会に住んでいてそんなふうに感じたことはありませんか?

目まぐるしい毎日。便利なはずの都会暮らしに、どこか息苦しさを感じる。
選択肢が多すぎて迷ったり、人混みや情報にさらされて心が落ち着かなかったり。
便利であることが、逆に心を疲れさせている。そんな感覚を、きっと多くの人がうすうす感じているのではないでしょうか。

今回は「不便=良くない」とは限らないという視点から、
東京・奥多摩の暮らしを通して見えてきた“ちょうどいい暮らし”のかたちをお届けしますね。


便利な都会に感じる違和感

“便利”に囲まれて、無くなっていく心の余白

「なんかしんどいなぁ…」
今、そんなふうに感じていませんか?

便利な都会。電車は数分おきに来て、コンビニもカフェも遊び場も多く、夜遅くまで開いています。
夜でも明るく、ふらっと飲みに出かけられる場所もたくさんあります。
私も若い頃は、終電を逃して朝まで過ごす、なんてこともありました。

その“選べる豊かさ”が、私たちを少しずつ疲れさせているのかもしれません。
「どのカフェに行こう」「どこで遊ぼうか」
スマホで調べて、比べて、迷って…頭も心もずっと動きっぱなし。
気づかないうちに、じわじわと、心の余白が削られているのです。

通勤だけで、1日分のエネルギー消耗

通勤ラッシュ、ぎゅうぎゅうの車内。
私も経験がありますが、立ちっぱなしで身動きも取れない。身体はこわばって、気持ちもなんだかぐったり。
毎日続くと、その疲れは確実に蓄積されていきますね。

電車を降りれば、流れるような人混み。
「急がなきゃ」「ぶつからないようにしなきゃ」
どこか急かされているような、落ち着かない気持ちになります。
毎日そんなふうに過ごしていると、自分でも気づかないうちに、心が疲れてしまうんですよね。

毎日を「暮らす」というより、「こなしている」。そんな感覚、ありませんか?

情報の多い日常から一度離れてみたくなる

スマホの通知、街の広告、すれ違う人の多さ。
一日中、情報や音にさらされて、頭の中がざわざわ。
気づけば「なんとなく疲れてる…」と感じているのに、その理由がはっきりしない。

もしかしたら、都会の暮らしでは「理由のない疲れ」が当たり前になっているのかもしれません。
「本当は、もっとゆっくり過ごしたい」そう感じたとき、人は自然と“ゆとりある暮らし”に憧れを向け始めるのかもしれません。


不便なはずの田舎の「ちょうど良さ」

「あるもので工夫する」暮らしが、心を豊かにしてくれる

東京都西部にある奥多摩町をご存じでしょうか?
コンビニやスーパーは数件。都会のような便利さはありません。

でもここには、「あるもので工夫する」「今あるものを大切に使う」
そんな丁寧な暮らしがあります。
野菜を最後まで使い切る。壊れたものを直して使う。季節の恵みを味わう。
モノを大切にすることが、心の豊かさにつながっていると感じます。

情報や選択肢が少ないからこそ、余計な迷いも減って、穏やかに暮らせる。
「足りない」んじゃなくて「ちょうど良い」。

そんな暮らしが、ここにはあります。

五感がよろこぶ、自然に包まれた暮らし

自然に囲まれた暮らしでは、人間の持つ“五感”を充分に使うことができます。
鳥の声で目覚める。風に乗って木の香りがふわっと届く。
季節ごとに虫の声が変わり、夜には満天の星空。
想像しただけで、ちょっと心がほぐれませんか?

自然を「感じながら」過ごす時間は、何よりの癒しです。
実際、自然に触れる時間が多い人ほどストレスが少ないという研究もあります。
自然は、そっと私たちの心と体を整えてくれるのです。

「分け合う」ことで自然と繋がる、やさしい人間関係

地域の方とのつながりは、思っているよりもずっと自然で温かいのです。
たとえば「野菜がたくさん採れたからどうぞ」とおすそ分けをいただいたり、
逆に自分が分けたり。そんなやりとりが日常にあります。

「どうやって作ってるんですか?」「この野菜、どう料理したらいいんですか?」
そんな小さな会話の積み重ねが、人との繋がりを生んでくれます。

分かち合い、助け合う温かさ。それも、田舎の魅力のひとつです。


奥多摩に移住した人たちが語る「移住して良かった」3つの理由

「不便そうだけど、実際に住んでみてどうですか?」

奥多摩に暮らす人たちは、不便さを「良くない」と感じるどころか、「心の余白」や「人と繋がり」に価値を見出しています。移住した方たちの実際の体験や言葉から見えてきた「奥多摩の魅力」を、3つのポイントにまとめてみました。


①自然との距離の近さ

「朝、鳥の声で目が覚めて、窓を開けたら山の向こうから朝日が差し込んできます。心がスーッと整っていきます。」

そう語るのは、奥多摩に移住した30代の女性。
仕事や家事に追われる日々から少し距離を置き、自然のリズムの中で暮らすようになってから、「五感がちゃんと戻ってきました。」と話していました。

奥多摩では、春は山桜と新緑、夏は清流のせせらぎや虫の声、秋は紅葉に包まれ、冬は満天の星空が広がります。
そうした四季の移ろいを、自然の色や音に囲まれて、ただ感じるままに五感で深呼吸する。

そんな日常が、ここにはありますよ。

② 人との繋がりが生む「安心」と「居場所」

移住してきた人たちが口をそろえて言うのは、
「ここでは、人との距離感がちょうど良い」ということ。

野菜をおすそ分けしてもらったり、道端で会えば立ち話をしたり。
深く踏み込んでくるわけではないけれど、気にかけてくれている、という安心感を感じるとのこと。

「東京にいた頃は、隣の人と一言も話したことがなかった。でもここでは“寒いですね”とか“これ余ったから良かったら”って、何気ない会話が自然と生まれるんです」

そんな、ささやかなやりとりが、嬉しいと言います。

そして、様々な地域活動やコミュニティがあり、移住者も積極的に参加して人間関係を築いています。
英会話教室や読書会など、町が主催するイベントにふと足を運んでみたことがきっかけで、新しい居場所ができたという声もあります。

「最初は知らない人ばかりで緊張したけど、“また来てね”って声をかけてもらえて。それが嬉しくて通うようになったら、少しずつ顔なじみが増えていきました。今では、“ここが自分の居場所”って思えるようになりました」

子どもから高齢の方まで、年代や性別に関係なく人と関われる“やさしい繋がり”が息づいています。


③本当に大切なものに気づける時間

奥多摩に移住した人たちからは、「時間の流れがゆっくりになった」「心に余白ができた」という声が多く聞かれます。

リモートワークを活用して生活のリズムを整えたり、家庭菜園やDIYに取り組んだりと、時間の使い方が根本から変わったという人も少なくありません。

特に印象的だったのは、ある男性の言葉。
「ここに来て、“暇”と“ゆとり”って違うんだと気づきました。前は、予定がないと不安で、何かしていないと“サボってる”ような気がしてたんです。でも、奥多摩では“今日は何もしない”が、ちゃんとした時間になる。山を見て、空を眺めて、ただぼーっとする時間が、すごく豊かなんです」

便利さやスピードに追われていた暮らしから一歩離れて、あえて“何もしない”時間をつくる。

暮らしの中にある小さな幸せに気づけるようになるのかもしれません。

奥多摩での暮らしは、“自分らしい時間の過ごし方”を取り戻すきっかけを与えてくれます。

さいごに

都会の暮らしは、たしかに便利です。
もし「ちょっと疲れたな」と感じていたら、
それは、“自分らしく穏やかな暮らしがしたい”という気持ちが芽生えているのかもしれません。

奥多摩での暮らしは、一見すると不便に感じるかもしれませんが、とても豊かです。
自然に癒され、モノを大切にし、人とやさしく繋がる暮らし。
そこには、都会では味わえなかった“心が緩む時間”があります。

「奥多摩、行ってみたいな」と感じていただけたなら、
まずはぜひ、一度時間をつくって訪れてみませんか?
風の匂い、綺麗な景色、人のあたたかさ…
画面越しでは伝わらない、“ちょうどいい時間”が、あなたを迎えてくれます。


奥多摩で待っていますね。